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2026/03/09 10:47

2日目は、前日の雪が嘘みたいに晴れた。
空が高い。白い世界の上で青がやけに際立っている。前夜の静けさが、そのまま朝の透明度になったみたいだった。
前日は真っ白で、目の前の数十メートル先すら曖昧だった。
でも今日は違う。近くの山肌がくっきり見えて、硫黄岳や天狗岳の輪郭が、きちんと戻ってきた。
同じ場所に立っているのに、昨日とはまったく別の山域に来たような錯覚がある。視界が開けるだけで呼吸まで軽くなるのが不思議。
雪は前日から30cmほど積もったまま。まだ誰のトレースもない。
歩き出すと、足元の感触が柔らかく軽い。沈むというより、さらさらの粉を踏み分けていく感じ。
歩くたびに、雪が小さく鳴る。わざと蹴飛ばすと、粉がふわっと舞い上がって木漏れ日に照らされてきらきら光る。
風が止まると、その光だけが動いて見えた。時間がゆっくり流れる瞬間。
木々の枝は雪を抱えてうなだれている。
手で軽く落としてやると、パサッと乾いた音がして、枝がふっと元の位置に戻る。
その反動が妙に気持ちよくて、つい何本もやってしまう。毎回落とした雪が肩口にかかってひんやり濡れる。
こういう無駄な寄り道ができるときって、たいていコンディションがいい。
前日は進むことだけで精一杯だったけれど、今日は歩きながら遊べる余裕がある。

途中しらびそ小屋で小休止。雪が降り積もったばかりのみどり池の上を歩く。
早めに下山して、地元の焼肉店でランチ。
それから温泉へ。
仕事なのか遊びなのか、自分でも曖昧なまま。
でも、その曖昧さがいちばん心地いい。