2025/12/08 11:20
久しぶりに鍋割山を歩いてきた。最後にここを歩いたのは、おそらく5〜6年前。もっと前だろうか…
「何度か来ている山だし、大体わかっている」と思いながらもどこかで「キツかったっけ?」と、少し身構えている自分がいる。
数年ぶりに向き合う山には、懐かしさと、ちいさな緊張がいつもいっしょに味わえる。
11月の後半。家を出るときは「今日は冷えそうだな」と思っていたけれども、
大倉の駐車場を出て歩き始めてまもなく陽が差し込み、空気が温まり緩んでいく。
この日はメリノのロンTeeの上にメリノシャツを一枚。
歩きはじめから下りてくるまで、ほとんどそのままでちょうど良く、体の動きと服装のバランスが素直にかみ合ってくれた。

登りはじめの道には、落ち葉がたっぷりと積もっている。一歩ごとに、ざく、ざく、と音がして、その感触が心地いい。
見上げると、斜面のあちこちが赤や黄色に染まり、ちょうど紅葉のピークといった景色が広がっていた。
木々の色づきは濃く、日の光が当たるたびに、空気までもう一段あたたかく見える。
数年ぶりに登る山。ルート自体は変わっていないのに、覚えていたはずの登りが「こんなにきつかったかな」と思えたり、
逆に、前は苦手だった区間が、思ったより軽く歩けたりする。山のせいでも、天気のせいでもなく、変わっているのはたぶん自分のほう。

体力やペースだけじゃない。以前は山頂や景色ばかりを楽しみにしていたのが、今回は、落ち葉の感触や、陽の差し方、休憩する場所の静けさのほうに、気持ちが強く向いている。
同じ山道でも、どこに心が動くかが少しずつ違ってきていて、それが「数年ぶり」という時間の幅を、はっきりと教えてくれる。

山を歩いていると、「今の自分」がよく見えてくる。勢いだけで登っていた頃もあれば今日は無理をせず、呼吸を乱さないように淡々と歩こう、と思う日もある。
鍋割山は、今のところ僕にとって、頻繁に通うホームの山ではなく、数年おきに思い出したように訪ねる山。だからこそ、そのたびに少し違う自分と向き合うことになる。
また何年か経ったらきっと同じように大倉から歩くと思う。そのとき自分はどんなペースで、どんな服装でこの山を登るのか。
Nest Poket L/S Shirt “Ombre Check”
手の行き場と、持ち物の居場所をひとつにまとめたくて、Nest Pocket L/S Shirt “Ombre Check” をつくりました。
裾まわりに配した大きなポケットは、手をそっと差し込んだ時に、そこがそのまま巣のように感じられるよう、位置と深さを決めています。
立ち話の間や、ベンチや岩に腰を下ろしたとき、地図やスマートフォンをまとめて受け止めてくれます。
生地には、メリノウールとナイロンを組み合わせた特別なファブリックを使用します。
メリノウールの温かさと通気性、ナイロンの耐久性が絶妙に調和し、心地よさと機能性を兼ね備えています。
RIDGE MOUNTAIN GEARのオリジナルオンブレチェックは、色がグラデーションのように変化し、深みのある魅力的なデザインです。
特に今回のオンブレチェックは、霧が立ち込めたような柔らかな淡い色合いが特徴で、着古した古着のような色褪せ感が絶妙な風合いを醸し出しています。
まるで長年大切にされてきたシャツのように温かみがあり、どこか懐かしさを感じさせる印象を与えます。
ロンTや薄手のニットの上に重ねて歩き出し、
そのまま一日を過ごして、気づけばまた手を入れている。
そんなふうに、指先と荷物の「定位置」になっていくシャツになればと思っています。


