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2025/10/08 16:52

2日目の朝。
雨は夜のうちにやんで、代わりに冷え込みが来た。テントのフライは薄く凍っていて、指で触れるとパリッと割れる。吐く息は白い。気温は0℃を下回っていたと思う。手先が少し痛いくらいの寒さ。
まずはお湯。ストーブに火をつけて、湯気が立ちのぼるのを眺めながらコーヒーを淹れる。カップを両手で包むだけで、芯から少しずつ温まっていく。この時間が好きだ。音も匂いも少ない朝に、コーヒーの香りだけがはっきりする。
6時に出発。黒百合ヒュッテをあとにして、天狗岳を目指す。歩き出してすぐ、木々の隙間から朝日が差し込んできた。昨日は一日中どんよりだったから光を浴びるだけで気分が切り替わる。風はまだ冷たいけれど体は軽い。うまく言えないけど、グッドバイブスに包まれてる感じ。足取りが自然と前へ出る。
今日は『Hooded Long Sleeve Shirt』をそのままレイヤーの軸に。動き始めの汗がこもりにくいから、体が温まってくるタイミングでも不快感が少ない。風が抜けて、汗戻りもしない。フードをかぶれば首まわりまで安心できる。立ち止まって撮影したり、ザックを下ろしてカメラを構えたり、またすぐ歩き出したりそういう細かな動きでもストレスがないのが助か
樹林帯はところどころ葉先が色づき始めていた。緑の中に薄い黄や朱が混ざるくらいのほんの始まり。足元の岩は昨日の水分を残していて、朝日に当たるとキラッと光る。こういう朝は歩くだけで気持ちが整っていく。

標高が上がると視界が少しずつ広がる。振り返ると黒百合ヒュッテの屋根が小さく見えた。雲は薄く、陽は強くないけれど、体の内側はしっかり温まっている。冷たい風とやわらかい光。そのバランスがちょうどいい。ここでもう一度、グッドバイブス。
撮影のカットをいくつか重ねながら、また歩く。立ち位置を数歩変えるだけで背景の抜け方が変わるし、衣服のシルエットも見え方が変わる。『Hooded Long Sleeve Shirt』は余計な装飾がないから画にすっと馴染む。小さなことだけど、こういう積み重ねが“今日は調子がいい”につながる。
陽が上がるにつれて体が完全に目を覚ます。呼吸は落ち着いて脚はリズムに乗る。冷たい空気を吸って光を浴びて足を前に出す。それだけで十分だと思える時間。頭の中の余白が増えて目に入るものがはっきりする。
天狗岳までは、もう少し。
風は相変わらず冷たいけれど気持ちはずっと穏やか。
コーヒーの温かさ、朝日のやわらかさ、服の快適さ、仲間達とのたわいない話。どれも強すぎない。足元に集中して、景色を時々ふり返って、また前へ。