2024/12/25 16:17
製品を作る際には、常に悩む問題。
「最新技術(テクノロジー)」は、アウトドアギアやウェア全般において、機能性を支える基盤となっています。軽量でありながら丈夫で、保温性と通気性にも優れていること。山で使用する道具にとって、それは確かに欠かせない要素です。
しかし、それだけでは「道具」としては完成されていても、どこか冷たさを感じてしまいます。手に取ったときに感じる温かみや親しみが不足しているように思えるのです。これは、僕自身が作る製品にも当てはまります。
一方で、「懐かしさや親しみ(野暮ったさ)」を過度に意識すると、機能面でのニーズに応えられなくなるのではないかという不安も感じています。RIDGE MOUNTAIN GEARでは、常にその二つをどのように両立させるかを模索しています。
例えば、『Alpha Booster Vest』には、Polartec® Alpha® Directという高性能素材が使用されています。この素材は非常に軽量で動きやすく、すぐに保温し汗をかいても蒸れにくいのが特長です。
しかし、このベストを単なるハイテクな道具にしたくはなく、肩を包み込む様なシルエットや控えめなデザインを取り入れました。最終的に、この「野暮ったさ」が「使いたい」と感じる理由の一つになればと願っています。
このような思いで作ったものが、山の冷たい風の中でどのように感じられるのか。街でちょっとした用事を済ませる際に、自然に溶け込むことができるかどうか。それが本当に「正解」なのかどうか…
ただ、「最新技術(テクノロジー)」だけでなく、「懐かしさや親しみ(野暮ったさ)」も大切にしたいという気持ちは、常に変わらず持ち続けています。
考えてみると、「テック」と「野暮ったさ」は、それぞれ単独では成り立たないのかもしれません。最新の技術は快適な生活を提供してくれますが、それだけでは人の心に届かないように感じています。逆に、野暮ったさだけを重視しても、現代の生活やアウトドアシーンには合わない。そう思います。
その狭間で生まれる「何か」に、RIDGE MOUNTAIN GEARの独自性があるのではないかと感じています。
山の寒い朝、街の風が肌に冷たく感じる瞬間。『Alpha Booster Vest』がどちらのスタイルにも自然に馴染んでくれたなら、それはきっとこの交差点を意識しているからだと思います。
でもそれを正しいと判断するのは僕たちではなく、実際に使ってくれる皆様だと感じています。